栃木県と福島県を結ぶ第三セクターの野岩鉄道は、クラウドファンディングからの支援をもとに観光列車に改修した6050型車両を「やがぴぃカー」と命名し、2024年1月26日(金)から営業運転を開始します。
“想定外”重なり1年遅れのお披露目
6050型は主に東京と日光・奥会津エリアを結ぶ料金不要の快速列車として長く活躍し、ボックスシートが並ぶ2ドア車両という旅情を誘うスタイルで人気を博しました。しかし、車両老朽化やワンマン運転拡大を理由に、2022年3月ダイヤ改正をもって東武鉄道と会津鉄道の各線内での運行が終了しました。野岩鉄道も保有していた1編成を廃車し、現役車両は同社の2編成を残すのみとなりました。
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希少性の高い6050型車両を活用しながらより多くの観光客を沿線地域へ呼び込むため、野岩鉄道は観光列車に改修する費用を調達するクラウドファンディングに挑戦しました。結果、目標金額の1千5百万円を大きくクリアする2千1万円超の支援金が集まり、名物車両の存続を願うファンからの応援の力強さが示されました。
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しかし、製造から40年近い車両の改修工事に着手すると部品の調達困難に直面し、想定を超える経年劣化も見つかり修繕作業は長引きました。将来の直通運転に備えた確認手続きに時間を費やすという予想外の事態も重なり、当初の予定で2023年2月頃とされていた営業運転への復帰をおおよそ1年遅れで果たすことになります。
(「やがぴぃカー」の運転日と時刻、「掘りごたつ席」「運転台席」写真と座席表など詳細は下の図表を参照)
「畳席」「掘りごたつ」でくつろぎを提供
改修が施された61103・62103編成は1月26日(金)〜2月4日(日)のうち4日間、会津鬼怒川線の新藤原駅〜会津高原尾瀬口駅間で1日1往復の運転が決定しています。各駅に停車し、新藤原駅10:51発の下りは「やがぴぃ1号」、会津高原尾瀬口駅12:52発の上りは「やがぴぃ2号」の列車名が付いています。その後の運転日は車両検査のため未定で、決まり次第公式Webサイトで公表するとのことです。
編成中の新藤原駅方にあたる61103号車は、乗車券のほか座席整理券(大人500円・小児250円)が必要な観光車両「やがぴぃカー」です。ドア脇にある8名分以外の座席は取り払われ、足を伸ばしてくつろげる「畳(たたみ)席」を主体とした車両へと生まれ変わります。畳席の一部は別料金の「掘りごたつ席」で、車窓の景色が映り込む鏡面仕上げのテーブルを中心に向かい合う配置となっています。
さらに、「やがぴぃカー」の目玉設備として、先に廃車された編成で使用していた運転台をそのまま使用した「運転台席」が車内2か所に設けられます。運転士になりきった気分を味わえるよう、運転台の上部に備えられたモニターには実際に6050型の乗務員室から撮影した前面展望画像が放映されます。運転台席は3つの区間に分けて発売され、1区間あたりの利用時間は約10分間となります。
なお、編成を組むもう1両の62103号車はこれまでのボックスシート仕様が維持され、予約や追加料金なく乗車することができます。和式だった車内トイレは今回のリニューアルと並行して洋式化されました。また、連結部寄りの一部は車椅子やベビーカーの利用者、自転車を持ち込んでの利用を想定した多目的スペースに改造されています。